ブリーとカマンベールの分かりやすい違いは、製品の名前です

 

ブリーとカマンベールは、どちらも白カビを利用して熟成する、やわらかなチーズです。

スーパーなどの店頭では、大きさも味も似ているブリーとカマンベールが販売されています。

違いが分かりにくいのが現状です。

 

違いがはっきりしているのは、AOP認証といってフランスで伝統的な作り方で、指定を受けた産地で作られている、古典的なブリーとカマンベールチーズです。

 

 

・伝統的なカマンベールチーズは、フランス西部で作られており、大きさは小型。直径10.5~11cm 高さ約3cm 重さ250g以上。

・伝統的なブリーチーズは、フランス中央部で作られており、大きさは大型。型の直径36~37cm 重さ2.5~3kg。

 

 

 

 

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さらに詳しくは続きでまとめました。

 

ブリーとカマンベール、名前の違いは由来の違いからきている

 

まず、ブリーとカマンベールの違いとして、もっとも分かりやすいのは名前の違いです。

名前が違う理由は、ブリーとカマンベール、それぞれのチーズの名前の由来にあります。

 

 

カマンベールチーズの名前の由来は、フランス西部のカマンベール村。

ブリーチーズの名前の由来は、フランス中央部のブリ地方。

どちらも、土地の名前がチーズの名前になっているのですね。

 

 

では、チーズの由来となったカマンベール村とブリ地方、そしてチーズの歴史について、見てみましょう。

 

 

フランス西部・ノルマンディー地方のカマンベール村とチーズの歴史

 

ノルマンディ地方は海にほどちかく、潮風が牧草の質やその土地で作られるチーズの味に影響を与えています。

 

カマンベールチーズの名前の由来となったカマンベール村は、そのノルマンディ地方にある小さな村です。

 

カマンベール村でのチーズづくりの歴史は古く、18世紀のはじめには、当時発刊された事典にこの村で作られたチーズのことが書かれていました。

事典に掲載された頃、カマンベール村のチーズは評価こそ高かったようですが、特別有名な存在ではありませんでした。

広い範囲で知られるようになったのは、鉄道の開通など、交通網が発達してからのことです。

 

カマンベール村のチーズは、時代を下って世界的な知名度を誇るようになり、チーズの名前の由来となったカマンベール村から遠く離れた国々でも、カマンベールと名付けられたチーズが販売されるようになりました。

 

 

フランス中央部・ブリ地方とチーズの歴史

パリの東に広がるブリ地方は酪農が盛んに行われており、チーズ作りも古くから行われていました。

 

特にブリ地方で作られているブリ・ド・モーは、古くから評価が高かったらしく、シャルルマーニュ(西暦800年から814年にかけてのローマ皇帝)が味わったなど、多くの逸話が存在します。

 

 

 

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名前の由来と地理・歴史のお話については、ここまで

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では、チーズそのものについてのお話に入りましょう

 

カマンベールとブリーの味の違いは、産地まで指定したチーズ同士で比較しないとなんともいえない

 

カマンベールとブリー、これらのチーズの名前以外の違いは何か? 

というと、はっきりしたことは言えません。

 

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味とか大きさとか、いろいろ違うはずだけど

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それが本当にはっきりしない

 

 

ブリーチーズのほうがカマンベールチーズよりチーズのサイズが大型。

味はクセが控えめで食べやすい。

 

とは言われていますが、現実に販売されているチーズは必ずしも当てはまりません。

 

カマンベールチーズと変わらないサイズのブリーチーズ。

国産の雪印や明治のカマンベールチーズより、においやクセが強いフランス産のブリーチーズ。

 

さまざまなチーズが販売されています。

 

 

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ごっちゃごちゃ

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そうです、ごっちゃごちゃ。「カマンベールとブリーの違いはなんだ!」といったらもう、「製品の名前の違い」だけで済ませるのが一番誤解がありません

 

このように、カマンベールやブリーと名前がついたチーズは、味や大きさや生産国にかなりの幅があります。

 

そのため、一概に

カマンベールと名前がついていたらこんな味でこのサイズ。

ブリーと名前がついていたらこんな味でこのサイズ。

だからカマンベールとブリーチーズの味の違いは○○!

と言ってしまうと誤解の元になってしまうのですね。

 

味や大きさの違いにまで話をすすめるときは、ブリーとカマンベールの比較、という広い範囲でのお話から、どこどこの産地(あるいはメーカー、商品名)のブリーとカマンベールの比較、というふうに、範囲を絞り込む必要があります。

 

ここでは、本家本元のカマンベールとブリー同士を比較してみましょう。

 

 

比べるなら伝統の味・AOPチーズ同士で。濃厚で小さなカマンベール・ド・ノルマンディーと優しい味で大きなブリ・ド・モー。個性的なブリ・ド・ムラン

 

カマンベールとブリーチーズの本家本元は、フランスのノルマンディ地方や、ブリ地方。

そこでは、いまでもカマンベールチーズやブリーチーズが作られています。

 

中でも、【カマンベール・ド・ノルマンディー】【ブリー・ド・モー】【ブリー・ド・ムラン】と呼ばれるチーズはA.O.P.マークといって、本場の伝統の味であることを示す目印がつけられています。

 

 

チーズ用語の意味。aopとaocとpdoとdopなど食品の品質を保証する制度について

 

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(むしろAOPマークが付いていなかったり、そもそもフランス国内で作られてさえいないカマンベールチーズ・ブリーチーズは、カマンベール風・ブリー風の白カビチーズと呼んでもらうほうがわかりやすくていいのかも・・・)

 

では、カマンベール・ド・ノルマンディーとブリー・ド・モーと、ブリー・ド・ムラン、3種のチーズを比べてみましょう。

 

 

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まずは、産地と大きさについて

 

※表中の産地はおおまかな範囲を示しています。より詳細な産地は、表の外の補足をご覧ください。

 

チーズの名前 産地 大きさ 
カマンベール・ド・ノルマンディー  フランス西部・ノルマンディー圏 直径10.5~11cm 高さ約3cm 重さ250g以上 
ブリ・ド・モー フランス中央部。ブリー地方 型の直径36~37cm 重さ2.5~3kg
ブリ・ド・ムラン フランス中央部。ブリー地方。ブリ・ド・モーの産地と比べて範囲が狭い。 型の直径27~28cm 重さ約1.5~1.8kg 

 

 

大きさは大きい順に、ブリ・ド・モー>ブリ・ド・ムラン>カマンベール・ド・ノルマンディーとなっています。

 

この大きさの差は、熟成の進み方の違いとなって現れ、味の違いを生むとされています。

 

 

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次は、原材料と熟成期間と、乳脂肪分の高さについて。

 

チーズの名前 原材料 熟成期間 固形分中に占める乳脂肪分の割合 
カマンベール・ド・ノルマンディー 無殺菌の牛乳 最低で21日間 最低で45%
ブリ・ド・モー 無殺菌の牛乳 最低で4週間 最低で45%
ブリ・ド・ムラン 無殺菌の牛乳  最低で4週間 最低で45%

 

※ブリ・ド・ムランは乳を凝固させる工程で、ブリ・ド・モーと比べて長い時間をかける。ブリ・ド・モーが2時間強に対して、ブリ・ド・ムランは18時間

 

 

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次は、肝心の味の違いについて

 

チーズの名前 特徴
カマンベール・ド・ノルマンディー 濃厚な味。潮風によって風味が作られるとされている。
ブリ・ド・モー カマンベール・ド・ノルマンディーに比べて優しい味。チーズでできたお菓子とも呼ばれる。
ブリ・ド・ムラン ブリ・ド・モーと比べて強い個性がある。独特の芳香があり、フランスの言葉では「フリュイテ」と表現されている。

 

これら3つのチーズは、おおまかには製造工程も原料も似ていますが、産地の気候風土の違いや、製造工程の細かな違いによって味の違いが生まれています。

 

特に、カマンベール・ド・ノルマンディーは産地であるノルマンディ地方が海にほど近く、牛のエサとなる牧草が潮風を浴びて育つことから、潮風の影響を受けない内陸部で製造されるブリとは違う風味が生まれると言われています。

 

 

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さいごに、まとめにはいります

 

・ブリーとカマンベールの中で、「本場フランスの伝統を守った味」とEUで認められているのは、A.O.Pマークがついたカマンベール・ド・ノルマンディーと、ブリ・ド・モー、ブリ・ド・ムランだけ。

 

・カマンベール・ド・ノルマンディーは小さくて濃厚。ブリ・ド・モーは大きくて優しい味。ブリ・ド・ムランはブリ・ド・モーと比べて個性派です。

 

・その他のA.O.Pマークがないブリーとカマンベールについては、どちらも牛乳から作り白カビで熟成させるチーズです。違いは製品の名前、と大雑把に考えていただくのが、誤解がなさそうです。

 

 

 

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まぎらわしい!

 

 

 

 

※この記事を書くとき参考にした本

チーズのソムリエになる 著 久保田敬子

チーズの教本 2019 NPO法人チーズプロフェッショナル協会