日本のチーズはまずいと聞いたり、感じたりしたことはありませんか。

 

他の人は美味しそうに食べている日本のチーズなのに、自分はまずいと思ったり、自分が美味しいと思っても他の人がまずいと言っていたりして・・・

 

実際そういうことがあっても、自分の味覚がおかしい(または他の人の舌がどうかしている)と、決めつけることはないですよ。

 

 

ここでは、日本のチーズがまずいと感じる理由を納得するためのいくつかのお話を書きました。

 

 

リンゴ1

こんな長ったらしく書かなくても食べ物の好みは人それぞれだけで済んでも良さそうな話だけどね

カボチャ1

それだけで済むなら本当に話が早い。(まさに記事の結論がほぼそれですし)人それぞれの好き嫌い・・・だけで物足りない方は、どうぞ続きをご覧ください

 

 

 

日本のチーズはまずいかおいしいか。絶対正しい正解はなさそうです

 

まず、食べ物をまずいと感じる条件は複雑です。

正解と不正解では割り切れない、食文化や単なる好き嫌いの問題が深く関わっています。

絶対的な正解はないそうです。

 

そもそも「日本のチーズがまずい」と感じている方の感覚自体、絶対的な正解ではないのかもしれません。

 

その理由として、人の味覚と嗜好の傾向があります。

 

単純にわりきれない味覚と嗜好のはなし

 

 

人は食べ物の好みについては保守的と言われていて、食べ慣れている食べ物を美味しく感じ、慣れていない味はまずいと感じる傾向があります。

 

その理由は、

 

・慣れている食べ物は安全であることが分かっているので、食欲を減退させるような違和感がない。

・慣れている食べ物は、食べる前から味を予測できるので、予想外の味がしたとき、異物の混入や変質に気づきやすい

 

(これを反転させると

・慣れていない食べ物は違和感があり、食べても安全かどうか分からないので、食欲を感じない

・慣れていない食べ物は味を予測できないので、変質していたり、異物が混ざったりしても気づきにくい

となります。)

 

食べ慣れているものは安心感があるので美味しく感じやすく、慣れていないものは安全かどうか分かりにくいので、まずいと感じやすい、ということです。

 

 

では、どんな食べ物を食べ慣れていて、美味しく感じる傾向があるか。

というのは、人それぞれ、または地域ごとに違いがあります。

 

日本国内だけでも、家庭によって料理の味付けが濃かったり、薄かったりします。日常的に家庭料理を食べない家庭もあります。

卵焼きに甘みをつける地域と、つけない地域というのもありますよね。

食べ慣れている食べ物の内容は、地域ごと、家庭ごとにさまざまです。

 

どれが正解、不正解と決めようとすると、どこまでいっても決着がつかない論争になりそうですね。

 

 

 

カボチャ1

誤解を恐れず乱暴にまとめると、「食べ慣れた味は安心感から美味しく感じやすい」(まずいと感じるのは単に慣れていないからだけかもしれない)

リンゴ2

(いっそ最初からそう書いたほうが分かりやすいのに)

 

まずい食べ物の条件について絶対的な正解はなく、日本のチーズをまずいと感じる感覚自体が、100%の正解ではないかもしれない・・・と書いたのは、そのような理由です。

 

 

リンゴ3

安全と安心感=おいしい。だったら腐ったものや毒物は誰でもまずいと感じそうなもんだけど、美味しく食べたはずでもお腹を壊したり、長い目で見て病気になったりするもんね。

カボチャ3

そう、おいしいとまずいの振り分け基準は複雑怪奇。簡単に言い切ろうとすれば誤解がつきもの、ていねいに言おうとすれば長ったらしく面倒くさい。ここでは簡単にまとめたので、しっかり知りたいときは一冊に情報がまとまった本を見たほうが、かえって近道かも・・・

 

※食べ物をまずいと感じる条件・美味しいと感じる条件について、もっと詳しい情報を求めている方は、この記事の情報源となっている書籍をご覧ください。

 

 

 

 

さて、チーズの話題に戻りましょう。

 

日本でのチーズ事情はヨーロッパから見ると奇妙なことになっているのかもしれない

 

日本のチーズをまずいと感じる方の感覚は絶対の正解ではないかもしれませんが、

「いや日本のチーズおいしいよ! ヨーロッパの本格的なののほうがまずいんだよ!」というのも、正解ではありません。

どちらの感覚もその人にとっては正解、というのが私の考えです。

 

もし、日本のチーズがまずいと感じているのが、ヨーロッパ諸国で故郷のチーズに慣れ親しんでいる方々なら、それも仕方がないといえます。

 

国それぞれチーズの歴史や食文化に違いがあり、生産、販売されているチーズの種類や味もギャップがあるからです。

 

日本は庶民が乳製品なしで生きてきた歴史が長く、チーズが日常の食べ物になったのは第二次世界大戦後のことです。

しかもさいしょに一般庶民にまで普及したチーズは、日本ではプロセスチーズ。ナチュラルチーズに添加物を加えて溶かして固め直した食べ物です。

2019年、この記事を書いている時点でも、スーパーでは多くのプロセスチーズが販売されています。

 

カマンベールチーズなどのナチュラルチーズも、より多くの日本人が食べやすいように作られている製品があり、外国のチーズを食べ慣れている方には合わないかもしれません。

 

(例:明治北海道十勝カマンベール 

 雪印北海道100カマンベール)

 

 

チーズといったらナチュラルチーズ。

カビで覆われていたり、外皮が臭かったり、時間とともに味が変わるチーズが当然。

プロセスチーズなんてめったに食べない謎の食品。

カマンベールチーズが加熱処理されていて、賞味期限が半年もあるなんて普通じゃない。

という常識の中で育った方なら、日本の状況は奇妙に思えるかもしれません。

 

食べ慣れた故郷の味を離れて日本のチーズを食べたら、

「いつもの味と違う→違和感→まずい!」となるのも無理はありません。

 

 

 

 

さて、日本のチーズの歴史にふれたついでに、しばらく脱線して日本のチーズの歴史を見てみましょう。

 

日本のチーズの歴史

 

チーズの歴史にもお国柄があり、イタリア、フランスなどチーズを伝統的に食してきた国々と、チーズが戦後になってようやく庶民の食文化に定着しつつある日本では、チーズの歴史が大きく違います。

 

日本では伝統的な食文化が、魚・大豆・米で支えられており、乳製品は必要とされていませんでした。

 

西暦700年頃には日本にも乳製品が存在していましたが、江戸時代までは皇族や一部の大名など、限られた人々が、滋養強壮など、エネルギー源以外の特別な意味を求めて利用していたようです。

 

明治時代に入り北海道で本格的な酪農が始まりましたが、チーズが本格的に庶民の食生活に浸透するのは、さらにあとのこと。

戦後食生活が欧米化してプロセスチーズが普及したり、さまざまなブームやメディアの紹介でナチュラルチーズが知られるようになったりして、チーズはようやく庶民の日常的な食べ物になりました。

 

 

 

乳製品が限られた人が愛用する貴重な食べ物だった時代

 

日本では西暦650年前後のころに、中国から牛乳が持ち込まれ、乳製品の歴史が始まったと考えられています。

 

江戸時代までは、乳製品は皇族や貴族や一部の大名が、滋養強壮などのためにに用いる程度にとどまり、一般庶民には縁遠いものだったと考えられています。

 

 

★650年前後~

中国から渡来した「善那」という人が当時の天皇「孝徳天皇」に牛乳を献上。

「右官史記」という古文書で、「蘇」が作られたことが記録されている。

(蘇とはチーズのような食品と考えられている。正確な作り方は伝わっていない)

 

★江戸時代中期

徳川吉宗がインドより3頭の白牛を輸入。

房総半島の嶺岡に作った牧場で牛を繁殖させ、絞った乳から「白牛酪」と呼ばれる乳製品を製造させた。

(白牛酪は、加糖練乳を固めたチーズと似た食べ物)

 

 

明治時代に酪農が本格的にはじまる

 

明治時代に入ると北海道で本格的な酪農がはじまり、海外の技術者の指導を受けてチーズなどの乳製品も作られるようになりました。

 

 

★1871年 明治4年

北海道開拓使次官、黒田清隆が酪農を中心に欧米型の農業を導入。北海道で近代的な農業がはじまる。

1872年に函館の七重に「七重官園」という試験場が作られる。

七重官園では、若い日本人が外国人技術者の指導をうけ、乳製品の製造方法や酪農経営を学んだ。

 

★1900年

函館のトラピスト修道院でチーズ作りが始まる。

 

 

昭和に入って徐々にチーズなどの乳製品が一般的になる

 

第二次世界大戦終戦後、日本は食の欧米化が進み、チーズの消費量も増えていきました。

かつて日本で食べられていたチーズはプロセスチーズが主流でしたが、さまざまな流行やメディアの紹介や、社会の変化の影響で、ヨーロッパで伝統的に作られてきたようなナチュラルチーズも普及が進んでいます。

 

★戦後

食事の欧米化が進んだことや、学校給食で乳製品がカルシウム摂取のためにとりいれられたことで、チーズが日本の食生活に馴染み始める。

 

★1964年 昭和39年

東京オリンピック開催。チーズの空輸がはじまる。

当時の船便では運べなかった柔らかいチーズなど、さまざまな種類のチーズが日本に入ってきたが、高級スーパーやホテルやレストランで提供されるにとどまり、一般家庭ではプロセスチーズが主流。

 

★1970年~

家庭で食べるピザのブーム。シュレッドチーズの消費が増える。

海外旅行が流行。イタリアやフランスのチーズの味にふれて、ナチュラルチーズを好む人々があらわれる。

 

★1980年~

ナチュラルチーズの消費量がプロセスチーズを上回る。

 

★1990年~

本格的なイタリア料理が注目される。ティラミスが流行。

第二次イタリアンブーム。

ワインが流行。

料理や食品の流行とともにチーズも注目されるようになり、消費量が増える。

 

 

 

このように、庶民の食生活にチーズが入ってきたのは、第二次世界大戦が終戦したあとのことです。

 

 

リンゴ2

脱線が長かった。

カボチャ1

では、日本のチーズがまずいと言われる理由についての話題に戻りましょう

 

 

ここまで、味覚の話とチーズの歴史にからめて、日本のチーズがまずいと言われる理由にまつわる話を書いてきましたが、もしかすると、こう思われた方もいるかもしれません。

 

 

いや、そんなややこしい話じゃないよね

または

じゃあどうすれば美味しいチーズを食べられるの?

 

 

 

スーパーやコンビニでよく見るチーズはまずい。特にプロセスチーズやチーズフードが・・・という場合

 

日本のチーズがまずいと感じたら、食べるチーズの種類を変えると美味しく感じるかもしれません。

 

まずいチーズを卒業したいときや、まずいと感じる理由について納得したいときは、まずは何を食べているか知ることから。

 

日本で販売されているチーズや、チーズに似た食品にはいくつかの種類があります。

 

★ナチュラルチーズ(乳、バターミルク、クリーム単体、またはそれらを混ぜ合わせたもののタンパク質を、酵素などの凝固剤によって凝固させ、ホエイ(乳清)を分離したもの)

★プロセスチーズ(ナチュラルチーズを加熱して溶かし乳化させたもの)

★チーズフード(乳や乳製品を主原料とする食品で、製品中の重量の中でナチュラルチーズやプロセスチーズの割合が51%以上のもの)

 

★ロングライフチーズ(熟成させたチーズを容器に入れて密封し、加熱して長期間保存できるようにしたもの。味も変わりにくい。時間とともに熟成が進むタイプのチーズが好きな場合は物足りなく感じるかも)

 

 

日本では、

ナチュラルチーズと、

ナチュラルチーズを加工して作ったプロセスチーズと、

ナチュラルチーズやプロセスチーズに他の材料を混ぜたチーズフード

 

加熱して保存期間を長くしたロングライフチーズ

 

さまざまなチーズやチーズに似た食べ物が販売されています。

 

外食では原材料が分かりにくいことから、100%チーズでできているわけではない、チーズのようなものを食べている可能性があります。

 

なんだかわからないけど普段食べているチーズがまずい。

と思うときは、まずは何を食べているか分かるチーズを食べてみてください。

 

リンゴ3

変な言い方だ。

 

カボチャ1

お店でチーズそのものを買って、パッケージの表示を確かめるとそのチーズが何なのかがわかります。ナチュラルチーズか、プロセスチーズか、チーズフードか、情報が得られますよ

 

 

食べているチーズがまずかったら、タイプの違う製品なら美味しく感じるかもしれません。

 

 

 

シュレッドチーズがまずいなら

チーズ自体は好きなのに、日本で売っているシュレッドチーズがまずいときは、まずは食べているシュレッドチーズがどんなチーズが確認するところから。

 

シュレッドチーズといえば見た目については似たものですが、その内容は製品によってさまざまです。

 

  • 植物性油脂を使用した低価格のシュレッドチーズ
  • 使用するチーズの種類にもこだわった高級なシュレッドチーズ
  • 細かいチーズがくっつかないように、セルロース(食物繊維)をまぶしたシュレッドチーズ
  • セルロース不使用のシュレッドチーズ

 

どれかが口に合わないときは、別のタイプを試してみてください。

 

植物性油脂を使った安いシュレッドチーズが美味しくないなら、少し奮発して

「コンテ使用」「グリュイエールチーズ使用」などと書かれている高級志向のチーズなら満足できるかもしれませんし、セルロースが気になるならブロック状のナチュラルチーズをすりおろして使ったり、セルロース不使用の製品なら気にいるかもしれません。

 

リンゴ1

もちろん、口に合わないなら無理にチーズを食べないというのもアリです!

 

 

 

同じメーカー、同じ名前の輸入チーズでも日本で食べると味や鮮度が劣化して感じる

 

海外で販売されているチーズと同じメーカー・同じ商品名のはずなのに日本で食べるとなぜかまずいという場合。

 

それは、輸送中やお店で管理されている間に、鮮度が落ちたり食べごろを逃したりして、味が落ちてしまったのかもしれません。

 

モッツァレラやリコッタやフロマージュブランなどの、熟成させないフレッシュタイプのチーズは特に、新鮮さが美味しさに影響します。

輸入されて日本の店頭に並んだものより、生産国で新鮮なうちに食べるほうが美味しいチーズもあるかもしれません。

 

 

カボチャ1

以上、【日本のチーズがまずいと感じられる理由について、味覚の研究とチーズの歴史にからめて書いてみた】でした。