山のチーズとは?

 

チーズのお店やイベントなどで、「山のチーズ」という言葉を見かけます。

 

この記事を見ているのは、

「山のチーズとはどんなチーズのこと?」

「山のチーズにはどんなものがある?」

そう思っている方が多いと思います。

 

ここでは、山のチーズの成り立ちや、フランスなど各国の山のチーズについてまとめました。

まずは目次を見ていただいて、求めている情報が書かれていそうか確かめてみてくださいね。

 

山のチーズとは山で放牧された牛のミルクで作る大型のチーズ

 

山のチーズとは、山間の牧草を利用して放牧を行い得られる牛のミルクで作るチーズです。

山のチーズの特徴としては、全体的に大きく、チーズの生地が硬いことがあげられます。

 

たとえば、代表的な山のチーズのひとつであるスイスのエメンタールチーズは、直径が80cm~100cm、重さは75kg~120kgと超大型。

 

 

このような、生地が硬く大きな山のチーズは、山の自然条件に合わせて作られるようになったと言われています。

 

 

 

 

 

山の厳しい冬に備えて硬く日持ちする大きなチーズがたくさん作られてきた

 

一般的に、山間部は農作物を育てるのに向く平坦な土地が少なく、気候も厳しい地域です。

 

急な斜面や、雪で閉ざされる長い冬といった条件のもと、そこで暮らす人々は山に生える牧草を活かしてチーズ作りを行い、チーズは山の厳しい冬をこすための大切な栄養源として利用されました。

 

保存食としてのチーズには、日持ちが良く、大量に作れることが求められます。そのため、チーズは水分をよく抜いた硬い生地になり、大型で熟成期間も長い山のチーズが作られるようになったと言われています。

 

 

大きなチーズを作るには大量のミルクが必要になり、そのことはチーズ作りのために飼う動物の種類にも関係してきます。

 

山羊や羊は体が小さく、とれるミルクの量が少ないため、大きなチーズを作るには向きません。いっぽう、牛は羊や山羊と比べて体が大きく、大量のミルクを提供してくれます。後ほどお伝えする代表的な山のチーズは、いずれも牛乳で作られるチーズです。

 

 

 

このように、山のチーズの特徴は、作る場所の自然条件と強く結びついています。

 

※以上の山のチーズの特徴は、以下の資料を参考にして書きました。

チーズのソムリエハンドブック チーズサービスで迷ったときのQ&A125 著 久保田 敬子

 

チーズの販売店では、中型のモンドールチーズ(これも山で作られるチーズ)が、山のチーズとして紹介されていることがあります。「山のチーズ」という言葉の使われ方は幅があるようです。

 

では、代表的な山のチーズを国別に紹介します。

 

フランスの山のチーズ

フランスは一国の中に海沿いの土地、内陸部、平野、山地があり、地形の変化が豊かな国です。フランス各地のチーズ生産地では、その土地の自然条件を活かしたチーズ作りが古くから行われており、さまざまなチーズが生まれました。

 

フランスにはマシフ・サントラル、ピレネー、ジュラ、ヴォージュ、アルプスといった複数の山があり、数々の山のチーズが生まれました。

その中で、日本で手に入りやすい山のチーズを3つ紹介します。

 

 

ボーフォール

サヴォワ県とオート・サヴォワ県の一部で作られる山のチーズです。この地域では中世、修道士と山のコミュニティが共同で山を開拓し放牧場を作り、チーズ作りが続いてきました。

 

 

 

アボンダンス

オート・サヴォワ県の山岳地帯で作られる山のチーズです。地名がチーズの名前となっているアボンダンスでは、14世紀には修道士たちが、山国の人々の冬の保存食として、夏にとれる牛のミルクを使ってチーズを作っていたと言われています。

 

 

コンテ

フランシュ・コンテ地方で、山の厳しい冬を越すための保存食として作られはじめた山のチーズです。水分をしっかり抜いて牛乳の固形分を濃縮させ、長い期間にわたり熟成させることで濃い旨味が生まれます。

フランスの山のチーズの中では生産量が多く、日本でもオンラインショップや輸入食材店で入手できます。

作った季節によって風味が変化し、冬に作ったチーズはヘーゼルナッツや炒り豆のような香りがあり、夏に作ったチーズはフルーティーと言われています。

 

 

 

イタリアの山のチーズ

イタリアは細長い国土の中に、山脈、平野、沿岸部が存在し、地形が複雑になっています。そのことから、各地域でその場所の自然条件を活かして、さまざまな個性のチーズが作られました。

 

国土の北部を標高4000mクラスの高い山が連なるアルプス山脈が横切り、山岳地帯では古くから、大きく硬くて日持ちする山のチーズが作られてきました。

その中で日本で手に入りやすい山のチーズをひとつ紹介します。

 

フォンティーナ

イタリアのヴァッレ・デレスタ州で作られる山のチーズです。チーズの名前の由来についてはいくつかの説があり、牧草地を意味するfontin、村の名前であるfontinaz、古いフランス語で加熱すると溶ける特徴を示すfontisやfondisが関係するのではないかと言われています。香りの良さとナッツの風味、甘みが特徴です。

 

 

スイスの山のチーズ

スイスは国土の大部分を山が占める山国です。穀物を育てるのに向いた平地が少なく資源も少ないことから、山地を開拓して畜産、酪農が行われるようになり、保存食としてのチーズ作りも盛んになりました。

ここでは、日本で手に入りやすい2種類の山のチーズを紹介します。

 

グリュイエール

エメンタールとともにスイスで代表的な山のチーズです。1115年、グリエール伯爵から領地の山のチーズの、現代で言う特許状のようなものが送られましたが、16世紀以降類似品が出回るようになったという歴史をもっています。2001年に、AOC制度によってチーズの名前が勝手に使われないよう保護されました。

 

エメンタール

丸く大きな穴が特徴の山のチーズです。アニメトムとジェリーに登場する穴開きチーズはエメンタールのこと。

チーズ熟成中に発生するガスと、緻密なチーズの生地が理由で、チーズ穴が空きます。チーズフォンデュのベースに使われる、風味が穏やかなチーズです。

 

 

※参考

チーズの教本2019 NPO法人チーズプロフェッショナル協会